片襟片袖ガード完全攻略:三角絞めとオモプラッタを量産する「攻防一体」の秘密
相手がどれだけパワーで押し切ろうとしてきても、この一本の襟と袖さえしっかり掴んでしまえば、そこはもう僕たちの独壇場。片襟片袖ガードは、体格差を無効化し、初心者から黒帯までが一生使い続けられる「オープンガードの王道」です。
片襟片袖ガードの深淵:なぜこの技術が「最強のゲートウェイ」と呼ばれるのか
ブラジリアン柔術の世界において、ガードポジションは数えきれないほど存在するけれど、その中でも「片襟片袖ガード(Collar and Sleeve Guard)」は特別な位置づけにあると言える 。多くのトップ選手が、まず最初にこの形を作り、そこからデラヒーバやスパイダー、ラッソーへと派生させていく 。
このガードの最大の魅力は、相手の上半身の自由を完全に奪いながら、自分の足を自由に使える点にある 。対角の襟を引くことで相手の姿勢(ポスト)を崩し、袖を引くことで相手の腕を無力化する。この「対角のコントロール」が生み出す歪みこそが、三角絞めやオモプラッタといった強力なサブミッションへの最短ルートになる。
柔道から転向した選手が最初に得意にするガードとしても知られているけれど、実際にはクロングレイシーのような伝説的な選手も、この「一見シンプルで奥が深い」ガードを武器に世界を席巻してきた 。派手なアクロバットは必要ない。ただ、正しい位置を掴み、正しい位置に足を置く。その精密さが、相手を絶望させる強固な壁になるんだ 。
【基本の形】四肢を連動させる「四角形のコントロール」
片襟片袖ガードを成立させるためには、両手と両足、つまり自分の四肢すべてが役割を持って連携しなければならない 。一つでもサボってしまうと、そこからパスガードの隙が生まれてしまうから注意しよう。
グリップの力学:襟と袖の役割
まず、手の動きから確認していこう。基本は対角の襟と、同じ側の袖を掴む形だ 。
- 襟の手(右手の場合): 相手の左襟を掴む。親指を中に入れて、鎖骨のあたりをしっかりグリップしよう 。この手は単に引くだけでなく、相手が突っ込んできたら拳を突き出してフレーム(壁)にする役割も持っている。
- 袖の手(左手の場合): 相手の左袖の口(袋取り)をグリップする 。この手は相手の「枕」や「脇差し」を防ぐための生命線だ。手の甲を自分の太ももの前に当てておくと、相手が袖を引いて切ろうとしても、テコの原理でキープしやすくなるよ 。
足の配置:三次元的なフレーム構築
次に、足の置き場所だ。ここがガードの「強度」を左右するポイントになる 1。
| 配置場所 | 役割 | メリット |
| 相手の腰(鼠径部) | 距離の維持 | 相手が密着してくるのを防ぎ、エビ(ヒップエスケープ)の起点になる 。 |
| 相手の二の腕(上腕三頭筋) | 崩しとプレッシャー | スパイダーガードのように踏み込むことで、相手の肩を前に引き出し、バランスを崩す 。 |
| 相手の肩(シャローラッソー) | サブミッションへの布石 | 足を高く上げることで相手の頭を下げさせ、三角絞めのエントリーを容易にする 。 |
基本的には、袖を掴んでいる側の足を相手の二の腕や肩に当て、反対側の足を相手の腰に当てる形が最もスタンダードだ 。
同期へのアドバイス:足は「置く」のではなく「踏む」
相手の二の腕や腰に足を置くとき、ただ添えるだけじゃなくて、しっかり踏み込むテンションをかけよう 。イメージとしては、相手の体を使って自分がマットから少し浮き上がるような「ぶら下がり」の感覚だ 。このテンションがあるからこそ、相手は動けなくなり、僕たちは軽やかに次の技へ移行できるんだ。
片襟片袖ガードの圧倒的なメリット
なぜ、このガードを最優先で練習すべきなのか。その理由は、以下の3つの大きなメリットにある。
- 攻防一体の超安定感 襟と袖を制しているため、相手は両手を使ってパスガードを仕掛けることが非常に困難になる 。ディフェンスをしながら常に「次の攻撃」を狙えるため、精神的にも優位に立てるのが嬉しいポイントだ。
- 体格差を無視できる「ぶら下がり」効果自分の体重を相手の襟と袖に預けることで、筋力を使わずに相手をコントロールできる 。自分より重い相手でも、ぶら下がられると想像以上に体力を削られるもの。効率よく戦えるのがこのガードの真骨頂だね。
- あらゆるオープンガードへのハブになる相手が立ち上がればデラヒーバへ、袖を切ろうとすればラッソーへ、と相手の反応に合わせた遷移がスムーズにできる 1。迷ったらこの形に戻ればいい、という「ホーム」のような安心感がある。
注意すべきデメリットとリスク管理
もちろん、無敵のガードなんて存在しない。片襟片袖ガードにも、いくつか弱点があることを知っておこう。
- グリップを切られると脆い: 2箇所のグリップが命なので、先に袖を切られると構造が崩れる 。グリップを切られそうになったら、深追いせずにすぐ次のガードへ切り替える判断が必要だ。
- 足のパムリング(回し)をサボると危ない二の腕に当てている足を、相手に手で押し下げられたり、内側から回されたりすると、そこからサイドパス(ニースライスなど)に繋げられやすい 。相手の動きに合わせて、自分も足を細かく回し続ける持久力と集中力が求められるよ 。
- 担ぎ(スタッキング)に注意: 相手に腰を浮かされ、背中を丸められるプレッシャーパスには弱いです。この場合は、足を肩にかけ直したり、シザースイープを狙ったりして、スペースを作り直す必要がある。
- コンバットベース: 相手がガッチリ膝を立てて隙間を消してくると、足の裏を当てる場所がなくなります。この時は素早く別のガードに切り替えましょう 。
実戦コンビネーション:相手を絶望させる3つのアタック
片襟片袖ガードから派生する攻撃は、どれも破壊力抜群だ。特に代表的な3つの技を深掘りしていこう。
1. 三角絞め(Triangle Choke)― 頭を下げさせて一気に極める
片襟片袖ガードと三角絞めの相性は、柔術界でも最強クラスだ 。
- 入り方: 二の腕に当てている足で相手の肩を強く蹴り出し、同時に襟を引いて相手の頭を下げさせる 。相手の姿勢が崩れた瞬間、腰に当てていた足を一気に相手の首の後ろへ跳ね上げ、足を組もう 。
- ポイント: 相手の腕が流れていなくても、ブリッジして腰を浮かせれば腕を流すスペースが作れる。襟を掴んでいた手で自分の足首をホールドし、角度を調整するのが極めるコツだ 。
2. オモプラッタ(Omoplata)― 相手の肩を「袋小路」に追い込む
相手が三角絞めを警戒して姿勢を低くしたり、腕を隠したりしてきたらオモプラッタの出番だ 1。
- 入り方: 袖を掴んでいる側の足を相手の脇下から通し、肩甲骨を蹴るようにして体を横に向ける 。襟を掴んだまま相手の頭を下げさせ、前転できないようにコントロールするのが重要だ 。
- ポイント: 相手が立ち上がって逃げようとしたら、そのままKガードへ移行したり、相手の足を抱えてバックを狙ったりと、多層的な攻撃が可能になるよ 。
3. 草刈りスイープ(Tripod Sweep)とシザースイープ
相手が立ち上がってバランスを保とうとしたり、逆に膝をついて耐えようとしたりする際のカウンターだ 。
- 草刈りスイープ: 相手が両足で立ち上がったら、二の腕の足を外して相手の膝裏にかけ、腰の足で反対側の足首を刈る 。襟と袖を引いているから、相手は後ろに倒れるしかない。
- シザースイープ: 相手が片膝をついてベースを低くしてきたら、腰に当てていた足を相手の脇腹に沿わせ、もう片方の足で相手の膝を刈るように挟み込む 。
- ポイント: スイープを仕掛けた際、相手が手をついて耐えてきたら、そこから再び三角絞めに戻る「ループ攻撃」が非常に効果的だ 。

【片襟片袖からのアタック6選】
ガードキープの極意:相手にパスをさせない「リテンション」の技術
ガードを維持することを「リテンション」と呼ぶけれど、片襟片袖ガードにおけるリテンションは、**足のパムリング(円を描く動き)に集約される 。
相手が僕たちの足を外そうと手で押し下げてきたとき、力で押し返そうとするのは得策じゃない。相手の力の方向を受け流すように、足首を小さく回して(内回しや外回し)、再び相手の二の腕や肩にセットし直そう 。
もし足が完全に外されて、パスガードのラインまで相手が侵入してきたら、すぐに襟のグリップを離して相手の肩を押し、自分の腰を逃がす(エビをする)スペースを作ることが大切だ。ここで無理に襟を持ち続けると、そのままサイドを奪われてしまうから、「執着しすぎない」こともリテンションの重要な戦略なんだ 。
アドバイス:お尻を重く、かつ動かせるように
相手にプレッシャーをかけられたとき、背中をベタッとマットにつけてしまうと動けなくなる 。常にお尻を少しだけマットから浮かせ、左右に揺らせる状態にしておこう 。これを「押しケツ」と呼んで意識しているけれど、お尻に重みを乗せつつ、機動力も確保するのが、片襟片袖ガードを何分間もキープし続ける秘訣だよ 。
応用編:デラヒーバとスパイダーへの華麗な転身
片襟片袖ガードを極めてくると、相手の反応が手に取るようにわかるようになる。そうなったら、次のステップとしてガードの遷移を楽しもう。
- デラヒーバへの遷移: 相手が大きく一歩後ろに下がって距離を作ったら、腰に当てていた足を相手の足に巻き付けてデラヒーバフックを完成させよう 。
- ラッソーへの遷移: 相手が袖のグリップを切りにきたら、その勢いを利用して足を深く巻き付け、ラッソーガードへ切り替える 。ラッソーに入れば、さらに強力なスイープが狙えるようになる。
- シングルXへの遷移: 相手が腰を引いて、上半身のコントロールが効かなくなったら、襟を離して相手の足を抱え込み、一気に股下へ潜り込む 。
このように、片襟片袖ガードはすべてのオープンガードの「中心地」です 。ここから攻防のアイデアは無限に広がっていく。
まとめ
片襟片袖ガードは、ブラジリアン柔術の面白さがすべて詰まったような技術。相手をコントロールする喜び、体格差を克服する驚き、そして電光石火のサブミッション。最初は足を回すタイミングや、グリップの強さに戸惑うかもしれないけれど、道場の仲間と一緒に練習していけば、必ず「あ、今ぶら下がれてる!」という感覚が掴める日が来る 。
記事の要約
キープのコツ: 「ぶら下がる」テンションを維持し、お尻を浮かせて動ける状態にする。
基本形: 対角の襟と袖をグリップ。足は腰と二の腕(または肩)に。
メリット: 高い安定感、筋力に頼らないコントロール、他ガードへのハブ。
デメリット: グリップカットに弱い、パムリングが止まるとパスされる。
主要コンビ: 三角絞め、オモプラッタ、草刈りスイープ。始めてみてくださいね!









コメント